あの夏の続きを、今
「それで……告る予定とかはあるのー??」
そう聞いてきたのは、アキだった。
「うーん、どこの高校行くか次第だね、高校東神に行くならまだ先だけど、浜百合に行くならコンクール終わった後かな」
私がそう言うと、皆が次々に乗っかってくる。
「そっか、先輩東神高校だよね!それで志帆、ずっと東神行くか浜百合行くか悩んでたんだ〜」
「東神に行けばまた一緒だけど、浜百合は遠いから離れ離れだもんね。究極の選択じゃん」
「っていうか、志帆は今でも先輩と連絡とれるの?」
「連絡先は知らないけど…時々、帰り道で会うんだ。帰る方向一緒だから」
「なるほどー!それは嬉しいね!」
そこにカリンも入ってくる。
「そういえば、6月の初めに、また東神の定演あるんじゃない?」
「うん、今度宣伝に行くみたいなこと言ってた」
「そっかー!じゃあ、楽しみだねー!」
私がそれに応えるより先に、他の5人全員が顔を見合わせて、ねー、とうなずいた。
やがて、カリンはもう一度私と正面から向き合った。
「カリンたち、みんな、志帆の恋が上手くいくこと願ってるからね!これから頑張ろうね!
…頑張って、じゃなくて、頑張ろう、だよ!」
────頑張ろう………
意外なその言葉に、思わず呆気にとられてしまう。
「えっ……あっ、うん!頑張ろう!……みんな、本当にありがとう!」
「いえいえー!」
「そろそろ夕食の時間だし、戻ろっか」
「うん!」
私たち6人は、夕暮れの海に背を向けて、砂浜の上を歩いてホテルへと戻る。
────心が軽い。
みんな、こんなにも私のことを応援してくれるんだ。
何て言われるか不安になる必要なんて、なかったんだ。
応援してくれる仲間がいてくれるって、心強い。
信頼できる仲間がいてくれるって、心強い。
仲間の絆が、深まった気がする。
素直になれて、本当に良かった────
私は心の中で、何度も何度も、ありがとう、と呟きながら、賑やかにおしゃべりしているみんなの後に続いて、ホテルの建物へと戻っていった。