あの夏の続きを、今
任された役目
【2016年 6月下旬】
今日は日曜日。午前練の日だ。
10時からは合奏の予定で、それまでは個人練習だ。
今日もいつものように、体育館の横に譜面台を立てて練習する。
梅雨時にしては珍しく、今日は良い天気だ。
綿雲がのんびりと、青く澄んだ空を流れていく。
それぞれの部員たちの基礎練習の音や課題曲を吹く音が、爽やかな夏の空へと吸い込まれていく。
スカイブルードリーム日和だな…と思いながら、一通り基礎練習をする。
そして、「マーチ・スカイブルー・ドリーム」と「じんじん」の練習。
遠くの方では、カリンとモモちゃんが一対一で指導をしている。
今、トランペットパートでは、1年生のモモちゃんへの指導は主にカリンが、2年生たちへの指導は主に私がすることになっている。
モモちゃんが入ってきてから、カリンもずいぶん先輩らしくなったな、と思う。
カリンがモモちゃんに笑顔で何かを話しかけると、モモちゃんもそれにつられてぱっと明るい笑顔になる。
────やはりカリンには、人を笑顔にさせ、人の素直な気持ちを引き出す不思議な力があると思う。
そこには、何か松本先輩に似たものを感じる。
前田先輩がカリンをパートリーダーにした理由も、今ならなんとなく分かる気がする。