あの夏の続きを、今



浜百合高校と東神高校、どちらに行くか未だ決めかねている私の心は、今は少しずつ浜百合高校の方に傾きつつあった。


いずれ「永遠の別れ」が訪れると分かっているのなら、それをしっかり受け止めて、全国出場の夢を叶えることだけ考えていればいい。そう思い始めていた。


けれど。完全に覚悟が決まったわけではない。


「永遠の別れ」をどうしても受け入れたくない、心の中のもう一人の自分は、「永遠の別れ」が訪れる前に少しでも長く先輩と一緒にいよう、だから東神高校に行こう、と呼びかけてくる。


それでも、コンクールがどんどん近づいていき、金賞を目指して練習を重ねていく中で、私の中ではコンクールで上を目指したい、全国大会に出たい、自分の演奏の限界を目指したい、そんな思いが日に日に強くなりつつあった。


もしこのまま浜百合に行く決心が固まったら、コンクールが終わったら絶対に、先輩に想いを伝えるんだ。


別れは辛いことだけど────でも、それは私にとって必要な通過儀礼のようなものなのだ。きっと。
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