あの夏の続きを、今
「そういえばさー」
「ん?どうしたのセイジ?」
「ちょっと来て」
そう言って歩き出したセイジの後について行くと、そこには小さな掲示板があった。
「志帆は、これ、今年は行くのか?」
そう言いながらセイジが指差したのは、『J地区夏祭り 2016』と書かれた小さなポスターだった。
毎年この運動公園で行われている夏祭りの宣伝のポスターだ。
開催日は7月31日────地区大会が終わって数日後だ。
「いや、まだ決めてない。特に誰かから誘われたわけでも、誘ったりしたわけでもないし」
「…じゃあ、俺と行くか?」
「……………ええっ…………!?」
「ん?何か不満か?」
「え、行くって、何に……?」
「決まってるだろ!夏祭りだろ!!」
そう言いながらポスターの張ってある所を手でバンバンと叩いてみせるセイジを、私は呆然と見ていた。
「えぇ……っと………私が………セイジと………一緒に……ってこと?」
「それ以外に何があるんだよ」
「いや………だって………」
私とセイジが、一緒に夏祭りに?
今まで一度もしたことのなかったことを突然提案され、私はただ呆然とすることしかできなかった。
どう返事をしようか迷いつつ、ゆっくりと顔を上げ、セイジの顔を見る。
……………あれ?
今、私、セイジの顔を見るために、顔を上げてる…………?
セイジって、前からこんなに背、高かったっけ………?
確か、前は、私とそれほど変わらないぐらいの身長だったはずなのに………