あの夏の続きを、今
そんなこんなで結局、その日の夕方、私はハヅキたちと一緒に、夏祭りの会場である運動公園へとやって来た。
皆は文字通りお祭り気分ではしゃぎながら公園の芝生へと足を踏み入れるが、私はどうにも気分が乗らない。
ハヅキは「ね、私、かき氷食べたい〜!」と言いながら、会場の入口のすぐ近くにあるかき氷の屋台へと駆け出して行く。
「じゃあうちも〜」「食べたい〜」
「あ、ちょっとみんな待って〜」
ハヅキの後について、皆とともにかき氷の屋台に並ぶ。
「ところで志帆、福原くんとはどこで待ち合わせしてるの?」と、一緒に来た部員の一人がかき氷を片手に振り向きながら聞いてくる。
「あそこのベンチだけど……あっ、もう来てるみたい」
「本当?じゃあ、早く合流しなきゃ〜」
そうして私たちは、皆がかき氷を買い終えるとすぐに、私とセイジが待ち合わせしているベンチのもとへと向かった。
ハヅキは「おーい、福原くん、来たよ〜」と言いながら、ベンチに一人座って焼きそばを食べているセイジ目がけて、私より先に飛び出していく。
「ちょ……おい、こんなに大勢連れてくるなんて、聞いてねーぞ!」
驚くセイジと、大笑いするハヅキたち。
「まあ、いろいろあって、なんかみんなついてくることになっちゃったんだけど……別にいいよね?大勢で回る方が楽しいだろうし」
私がそう言うと、セイジは不満そうな顔をしつつも、「まぁ、別にいいけど…」と答えた。
「それじゃ、みんなでお祭り、楽しもう〜!」とハヅキが言うと、他の仲間も「おー!!」と盛り上がる。
だが、私はどうしても、心底楽しい気分にはなれなかった。
心の奥底にある暗くて冷たい何かが、ずっと消えないまま。
────きっと、最近うまく音が出せなくてずっと辛いままだから、そのせいだろう。
今だけでも辛いことは忘れよう。そう思っても、なかなか気持ちは晴れないままだ。