あの夏の続きを、今
トランペットのこと。進路のこと。セイジのこと。松本先輩のこと。
カリンは、今は今のことだけ考えればいい、って言っていたけど、やはり自分がどうしたいのか分からないままでは、何も解決しない。そんな気がする。
それに、コンクールには音も心も身体も、万全の状態で臨みたい。
今の暗く沈んだ、苦しみに締め付けられた心では、絶対に頑張れないだろう。
────それでも、私はいくら考えても、自分がこれからどうしていきたいのか、何も分からなかった。
セイジへの気持ちも。先輩への気持ちも。
「好き」が何なのかも。
自分が本当にトランペットをやりたいのかどうかも。
何もわからない。
途方に暮れていたその時、雨音に紛れて、後ろのほうから近づいてくる足音で、私ははっと我に返った。
すたすた、ばちゃばちゃと、近づいてくるその足音は、私のすぐ後ろで歩みを止めた。
思わず私がその方向に振り向くと────
「……………………レナ!?」
もう二度と、会うことも話すこともないと思っていた、かつての親友の姿。
それを目の当たりにし、私は戸惑ってしまう。