あの夏の続きを、今
「じゃあ、カリンは、好きな人いるの?」
逆に聞いてみる。
「それがね、いないんだよー」
「え、散々聞いといて、そう来るかっ」
私が漫画の登場人物だったらひっくり返って転んでただろう。
「だから、カリンは恋する乙女な志帆が羨ましいよ!」
そういってニッコリ笑顔になるカリン。
「う、羨ましい……そんなこと言われたの、初めてだよ」
「そう?カリンはね、オーディションで初めて志帆を見てから、清楚で純粋で大人っぽい人だなーって、ずっと思ってたよ!」
「そ、そんな!?私が、大人っぽい!?……確かにカリンよりは背は高いけど、みんなよりはずっと低いし……」
「背なんて関係ないよ!カリンは確かにあの時、志帆のこと、ああ見えたんだもん」
そう言ってカリンはまた目をキラキラ輝かせる。
それを見ていると、もう私も何も言えなくなった。
私だってカリンのことが羨ましいよ、って言ったら、どう言われるかな、とは思ったけど。