あの夏の続きを、今
その日の昼休み、私はハヅキのもとへと向かう。
「ねえ、ハヅキ、ちょっといい?」
「どうしたの、志帆?」
「セイジと連絡取れる?」
「うん、取れるけど」
「じゃあ、今日の15時半、図書室の前に来て欲しい。言わなきゃいけないことがある。って送っといて」
「お?告白の返事?」
「う、うん」
「まあ……志帆がどう言うかは、もう分かってるけどね」
「まあね」
「ね、後でさ、どんな感じで告白されたのか、教えてよ」
「えーー!?」
そんなこんなで、特に何事もなくその日の練習は終わった。
まるで昨日までのことが嘘のように、音の出方は順調だった。
『県大会まで あと 6日!』
カウントダウンの文字を見ながら、この調子なら、きっと本番の頃には満足のいく仕上がりになっているだろう、と思いを巡らせる。
そして、普段は練習時間が終わった後も少し残って練習を続けていたが、今日からはそれも無しにして、しっかり休むことにした。
時計の針は3時20分。
私は楽器を片付けると、のんびりと音楽室を出て階段を降りる。