あの夏の続きを、今


そして、昼食を食べ終えて、午後の合奏が始まる5分前になった。


まだお喋りに花を咲かせている部員もいれば、自分の席で練習を再開している部員もいる。


その時だった。


────ガチャリ。


突然、何者かによって音楽室の扉が開かれた。


騒がしかった音楽室は、一気に静まり返る。


「お久しぶり〜!お邪魔しまーす」


その声と同時に扉の向こうから現れたのは───何と、シオリ先輩。


だけではない。


そこに現れたのは、様々な高校の制服を着た男女が、5、6人。


「えっ!!」「うそ!?」「先輩だ!!」


2、3年生の部員たちが立ち上がり、次々に歓声を上げる。


────やって来たのは、この部を卒業した先輩たちだったのだ。


シオリ先輩に、私の1個上や2個上の女子の先輩が数人。全く知らない、S高校の制服を着た女子が1人と、山内先輩、そして────



────松本先輩。




確かに、そこには、何度も何度も見てきた、私の大切な人の姿があった。


「松本先輩!松本先輩だ!!奇跡が起きた!!!」

「志帆、すごい奇跡じゃん!ってか、お兄ちゃん来るなんてカリン聞いてないよ!!」


私はカリンと二人ではしゃぎ合っていた。
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