あの夏の続きを、今
楽器と楽譜とチューナーとタオルを持ったら、集合場所でパートごとに並ぶ。
そして、チューニング室へと向かう。
人で賑わうロビーを通り抜けていくうちに、胸が高鳴ってくる。
こんな良い会場で演奏できるなんて────夢みたいだ。
ロビーを通り過ぎて、舞台裏へ入ると、ますます期待が高まる。
薄暗い空間。見慣れない道具や機械。反響板の隙間からちらりと見えるホール。そこから聞こえてくる他校の演奏。
初めて見る舞台裏の光景に胸が鳴った。
舞台裏を通り過ぎて、チューニング室となっている楽屋へと入る。
楽屋に舞台裏。ステージに立つ人しか入れない場所。
そこに、私がいる。
私は、ステージに立つ人なんだ、「出演者」なんだ────
そう考えた途端、それまでの期待感は一気に緊張へと変わった。