あの夏の続きを、今
そのまま、難波先輩────もとい、舞先輩は続ける。
「でね、吹部に入って松本くんと再会してから、J中は今どんな感じなのか気になってね、こうして松本くんと見に来たわけ。
……それにしても松本くん、この子たち二人とも本当に可愛いよね!転校がなかったら私の後輩でもあったのかと思うと、羨ましいなぁ〜。
というわけで、えーと、こっちが志帆ちゃんで、こっちがカリンちゃんだよね?松本くんから名前だけは聞いてたけど、こうして会えて嬉しいよ!もしまた会う機会があったらよろしくね!覚えといてくれると嬉しいな」
「はい、よろしくお願いします、舞先輩!」
その時、「おーい、カリンちゃん、志帆ちゃーん!」と呼ぶ声が、後ろから近づいてきた。
「え、アカリ先輩……んぐゅっ!!」
振り向く間もなくカリンに後ろから抱きついてきたのは、アカリ先輩だった。
その後ろから、「もうー、アカリ、いきなり抱きついたりしたらびっくりするでしょー!ごめんね、うちの妹が迷惑かけて」と言いながら、シオリ先輩もやって来る。
「あはは、先輩はいつもあの調子なんで、大丈夫ですよ」と私がシオリ先輩に返事をする横で、アカリ先輩はシオリ先輩の声など聞こえていない様子で、「もうー、こんなに上手い演奏しちゃってー!うちはもう感激だよー!」と言いながら今度はカリンに正面から抱きついている。
「ア、アカリ先輩……!私だって……!!」
思わず私がそう言うと、アカリ先輩は、「もちろん、志帆ちゃんもね!ソロ頑張ったご褒美っ!」と言って、私に正面から抱きついてくる。
「ふぎゅっ、アカリ先輩っ……苦しいですよ……」
強く抱きついたアカリ先輩の身体が離れた後も、私の身体には柔らかな温もりが残っていた。