あの夏の続きを、今
代表校の発表で、最後まで私たちの学校の名前が読み上げられることはなく、中国大会出場の夢は絶たれた。
誰もが皆、涙を流していた。
けれど、この涙は、悔しさや悲しさだけではない。私はそう信じていた。
だって────私は、私たちのした演奏に、満足しているから。
例え結果は伴わなくても、これまでにない奇跡を生み出すような演奏がここで出来たことを、私は誇りに思っている。
私は私に出せる最高の音を奏でた────だから、悔いはなかった。
私はもうこの部活を引退してしまうけれど、きっと来年、そして再来年、そしてもっと先も、後輩たちがこの夢を叶えるために頑張ってくれるだろう。
それに、私には、浜百合高校で全国大会を目指すという夢がある。
今日のコンクールに至るまで、2年半かけて積み上げてきたもの、知ったこと、伝えた想いと交わした約束。
それらは全て、これから始まる新しい夢の始まりなのだから。
だから、ここで終わりではない。私はそう信じていた。
────最後のコンクールで中国大会、全国大会に出るという夢は叶わなかったけれど、私の心の中には、たくさんの大切なものが残った気がした。
だから、私はこの夏のことを、決して忘れないだろう。
共に頑張ってきた仲間も。
前に進む勇気をくれた友達も。
私の想いを受け止め、応援すると約束してくれた、大切な人も。
全てが、私が新しい夢へと踏み出すきっかけとなったんだから。
だから、私はこれからも、高みを目指し続けよう。
────私にしかできない、最高の音を目指して。
私はそっと、涙を拭いた。
────またいつか、この音が届く、その日まで。