あの夏の続きを、今
初夏の放課後
【2014年 6月中旬】
「んーーーーーー、、、」
吹奏楽祭が終わってしばらく経った、ある日の昼休みの教室。
携帯を持っていない私は、リサから借りたスマホにイヤホンを繋ぎ、私はさっきから同じ曲の同じ部分を繰り返し繰り返し聞いている。
机の上にある楽譜とにらめっこしながら。
「まただめだ………もう1回」
少し巻き戻して、また同じところをもう1度。
「んーーーーーーーーーーーー、、、、」
「さっきから険しい顔して……一体何してるの、志帆」
いつの間にか側にやって来ていたリサが話しかけてきた。
「あーー、リサ、やめてよ、いい所だったのに」
私は曲を止めてからイヤホンを外し、リサの方に向き直る。
「ごめんごめん。なんか、志帆がこういう表情してるのって、珍しいなーって思って」
「あー、今、吹奏楽コンクールでやる曲の音源を聴いてたの」
「なるほど、それで、楽譜ばっかり見てるのね」