あの夏の続きを、今
いつもならオレンジ色に染まるはずの、練習終わりの時間の音楽室から見える景色は、今日はいかにも梅雨時という感じで、どんよりとした分厚い灰色の雲に覆われている。
練習が終わってから、いつものように「ありがとうございました」と言って音楽室を出る。
そして、自転車置き場でいつものようにハルトとレナを待つ。
けれど、今日は何があったのか、2人がなかなか来ない。
他のバスケ部員たちは、もう帰り始めているのに。
人で溢れ返っていた自転車置き場も、だんだんと人の姿がまばらになり始めた。
そして、6時半の最終下校のチャイムが鳴った。それでも、2人は来ない。
「ほらほらー、チャイム鳴ったぞー!早く校門出ろー!」という先生の声が聞こえてきたので、私は仕方なく自転車置き場を去って、校門を出たところで待つ。
しばらくして校門から、レナが出てきた。
「ハルト待ってるの?」とレナが話しかけてくる。
「そうだよー」と言うと、レナは「なんか、ハルト、先生に捕まってて遅くなるみたいだから、今日は2人で帰ろっか」と言う。
「そうだね…」
本当は、ハルトに会いたかったけど、これ以上待ってても先生に怒られるし、仕方なく校門を後にした。