あの夏の続きを、今
今日はクラスでこんな出来事があったとか、先輩に教えてもらって難しいフレーズも吹けるようになったとか、今度の週末はどこに遊びに行きたいか、とか、いつものように話をしながら、レナと一緒に並んで帰る。
私はふと、あることを思い出した。
8月の初めに、リサの地元のU小学校で夏祭りがある。
そこで、私たち吹奏楽部のステージがある。
だから、ハルトと一緒に行きたい、と思っていたのだ。
流石にハルトと2人きりは恥ずかしいから、レナと3人で行こうと思っているのだけれど。
そこで、レナに聞いてみる。
「ねえ、レナ、8月の初めの、U小の夏祭り……」
「あー、そのことなんだけど」
言い終わらないうちに、レナが口を挟む。
「私、その日は家族で帰省することになっててさ」
「えーー、そんなーー」
「あと、ハルトも一緒に行きたいだろうと思って聞いといたんだけど、家族旅行が入ってるから無理だって言われたー」
「ウソーーーー!?」
「本当にごめんね、一緒に行けなくて」
「えぇーーー………」
私は残念な気持ちを目一杯表情に押し出しながら返事をして、レナの方を見る。
レナは前を向いたまま、「ごめんね、本当に。まあ、期末テスト終わったらまた一緒に遊べるからさ、許してよ」と言って笑う。
────その横顔が、一瞬、どこか無理やりな作り笑いのように見えたのは………
気のせい、なのかな…………?
きっと、気のせい………だよね…………?