あの夏の続きを、今
目指す音の先
【2014年 8月上旬】
期末テストが終わってから、夏休みも毎日のようにコンクールの練習があった。
個人練習にパート練習に合奏。
最初はなかなかまとまらなかった音も、根気よく練習を続けていくうちに、少しずつ、ひとつの曲としての形になっていった。
そして、本番まであと1週間と少しとなった。
これは、「3年生の先輩の引退まであと1週間と少し」ということでもある。
もう、松本先輩と吹ける時間もあとわずか。
本当は、もっと一緒に練習したいし、もっと色んなことを教えてもらいたいんだけど────時間の流れには逆らえない。
私たちの出るB部門では上の大会には進めないから、コンクール本番が3年生の最後の演奏ということはもう決まっている。
コンクールが終わって帰ってきたら、そのまま引退式が行われることになっている。
少し前に、引退式のときに松本先輩に渡すプレゼントを用意しておくように、と前田先輩に言われた。