あの夏の続きを、今
U小学校に着いてからは、校舎裏の日陰で音出ししながら待機。
チューニングの後に、ウォーミングアップ。
ふと横を向くと、私の近くに立ってトランペットを吹いている松本先輩の姿が目に入った。
あの華やかな高音が、私の耳に、そして心に、響いてくる。
吹奏楽の中でのトランペットは普通、1st、2nd、3rdの3つのセクションに分かれている。
1stが一番音が高くて難易度も高く、3rdが一番音が低くて、難易度も低め。
今回演奏する2曲では、松本先輩が1st、前田先輩が2nd、私とカリンが3rdの担当。
コンクールで演奏する「雲の信号」は、小編成用の曲なので、1stと2ndしかない。松本先輩が1stで、残りの3人が2ndだ。
松本先輩は、私が入部してからずっと、1stを吹き続けている。
1stの高音は、もはや松本先輩の代名詞のようなものになっている。