あの夏の続きを、今
「ねえ、名前なんていうのー?」
落ち着いた大人っぽい顔立ちのその子は、笑顔で私に話しかけてきた。
私は慌ててとっさに返事をする。
「あ、えっと、広野 志帆って言うの。…志帆って、呼んで」
「私は、長谷川 理沙子(はせがわ りさこ)。リサって呼んでね。よろしくね!」
その子はそう言ってニコッと微笑むと同時に、私の心は歓喜でいっぱいになった。
早速………話せた!
仲良くなりたいって思っていた、まさにその子と!
「えーと、リサ、どこの小学校から来たの?」
「私は、U小。志帆は?」
「J小だよー」
「ほんと?じゃあ、隣の学区だから、近いんだね!」
そう言ってリサはまた笑顔になる。
友達が…………友達ができた!!
私の…………中学校で最初の友達!
つい30秒ほど前まで何て話しかければいいのか分からずにいた相手と、今こうして話すことができている。
人と話すことが苦手な私にとって、それはこの上ない喜びだった。
その後、先生が入ってくるまで、私はリサと話し続けた。
リサのおかげで、これからの毎日がさらに楽しくなりそうな、そんな気がする。