SUMMER PARTY NIGHT


また今日も同じ一日がスタートする。

着信のならないスマートフォンの画面を眺めながら、来るはずのないメッセージを待ちわびている生活を初めてからもう半年の月日が経った。


服部忍(はっとり しのぶ)と書かれた自分の保健証を取り出して、薬局のお兄さんに手渡す。


少しだけ風邪気味の今日のこの頃なのだ。


今日は会社のイベントで肝試し大会を実施するらしい。


同期は強制的に参加とのことで、久々に集まるというのに少し風邪気味になってしまった。


猛暑日が続いてクーラーの温度を下げたまま、薄着で寝てしまったことが最大の原因であることは明白である。


社会人としての体調管理がしっかり出来ていないと上司に怒られる前に、病院に行ったまでだ。


結局診断は鼻風邪とのことで、たいしたことはないから軽い鼻止めと咳止めを処方された。


今夜どうしても行かなくてはと自分でも思っているのは、来るはずのないメッセージを送ってこないあの男も参加するからだ。


「……本当いつまで経っても未練がましい」


自分で自分を責めてみるが、心の中では再び会えるチャンスだと少しだけ高揚する気持ちを抑えられないでいる。


「服部さん。服部忍さん」


名前を呼ばれて席を立つ。


薬を飲んで、少し休んだら肝試し大会に行こう。




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