SUMMER PARTY NIGHT
「……本当に申し訳ございません」
「いいえ」
「本当に申し訳ございません」
「全然」
いくらか冷静を取り戻した後、顔を真っ赤にして忍は庄司に謝罪の言葉を述べる。
暗闇のおかげで、顔が赤くなっているのはバレていないようだ。
「あの……」
「なに?」
「そろそろはなして……もらっても……」
顔が真っ赤になっているのがばれていないのは、暗闇だけのせいではない。
庄司が忍のことをしっかりと抱きしめているからだ。
「嫌だって言ったらどうする?」
耳元で囁かれて、心臓が思わず大きく跳ねる。
「……庄司?」
顔を上げて彼の顔を覗き込むと、真剣な表情を浮かべた庄司が忍の顔をじっと見つめていた。
「なあ、忍」
「……」
「俺、別れたつもりないよ?」
「え……」
「今日のイベントはその話をするために、同期に協力してもらったんだ」
突然の告白に頭がついていかない。
一体どういうことなのだろう。
「え……」
「忍。俺が、あの箱の中の番号をバラバラに入れてたと思う?」
庄司が持っていた箱を思い出す。
「……うそでしょ」
後ずさりしようとするが、しっかりと抱きしめられているので身動きとることが出来ない。
「嘘じゃないよ」
「……だって、全然話しかけてもこなかったじゃん」
「それは忍が避けるからでしょ」
「連絡だって……」
「LINEもSNSもブロックしておいてよく言えるね」
「私のこと可愛くないって言ったじゃん……」
自分でも言っていることが支離滅裂になってきていると自覚をしているが、なぜか言葉が止まらなかった。
一緒に涙まで溢れ出してくる。
「素直じゃないよね、本当に」
小さく溜息をついて、庄司は忍を抱きしめる力を強くした。
「うるさい……」
「ねえ」
「……」
「キスしたい」
「……」
「ねえ?いい?」
「……」
「忍?」
優しく耳元で囁かれると、心臓が破裂しそうなほど鼓が早くなる。
「……ば」
「ん?なに?」
聞こえてるくせにわざと聞き直してくるあたりが、憎たらしい。
「キスすれば!って言ったの!」
「そう?忍が言うなら、ぜひさせてもらうよ」
完全に手のひらで転がされている。
キスし終わったら、ちゃんと今までのことを謝らないと。
そんな風に思いながら腕の中で考えた。
薬が切れたのか身体が熱く、少しだけ目眩がする。
帰り道はおんぶしてという忍の我儘も、きっと、彼は笑って許してくれるのだろう。
To be next party...【fire flower】