SUMMER PARTY NIGHT
「なあ、大丈夫?」
花火が消え去った後は必ず自己嫌悪に陥る。
こんなことがしたいんじゃない。
「……ん。大丈夫」
話をしなくては。
こんなことをもうやめようと。
身体だけ重ねても、もう祥吾はいない。
残された人たちが一生懸命面影を探して身体を這わせても、何もならない。
何も変わらない。
「夕飯どっかに行く?」
「うんん。大丈夫」
「そっか……」
「……」
「……」
会いたい。
祥吾。
どうして、あの日私は彼にジュースが飲みたいだなんて我儘を言ってしまったのだろう。
祭囃子と太鼓の音。
人々の笑い声。
救急車の音。
「思い出しちゃだめだよ」
悠也がめぐみを抱きしめて言った。
「……」
「めぐみ」
「……」
「……めぐみのせいじゃないから」
甘え過ぎていたのかもしれない。
一生一緒になんかいられない。
祥吾がいなくなった後、悠也は自分の彼女と別れてまで一緒にいてくれた。
泣きじゃくった悠也の彼女の顔が祥吾の最後の顔を重なる。
「なんで、なんでよ!なんで悠也があの子と一緒にいる必要があるのよ!親友の彼女だからって変じゃないの」
言っていることは理解できた。
だが、悠也の差し伸べた手は心地が良くてなかなか手放せなかった。
そろそろ解放するべきだ。
この間、彼の会社の人がめぐみのところへやって来て、彼がニューヨーク行きの出世が決まったと教えてくれた。
「たのみます。彼のチャンスをどうか」
めぐみを理由にして悠也が行かないと決めているらしい。
離れられない彼女がいる。
そう悠也は言ったそうだ。
「……ねえ、悠也」
「どうした?」
「私達。もう終わりにしよう?」