SUMMER PARTY NIGHT


「か、からかうだけなら他をあたってください……!」


予想もしていなかった浩志の言葉に動揺して声が裏返ってしまった上、訳の分からない回答を返してしまった。


何が恋愛に関することは頭で分かっているだ。


恋愛下手な中学生よりもひどい。


「この状況で俺がからかってメリットあんの?下手したらセクハラじゃん」


苦笑いしながら浩志が言った。


Tシャツの中で汗が背中を伝って落ちていく。


「だって……急に驚くようなこと言うから」


ぬるい塩気の混じる空気が、急に気になり始め、静かな車内の中で、亜美の吐息と浩志の吐息だけが聞こえる。


手汗をTシャツで拭い、亜美は俯いた。


「星野……俺自惚れていいの?」


優しく甘いその質問に泣きそうになりながら縋るように浩志を見つめて小さく頷く。


「……」


「その顔、反則」


少しだけ塩気の混じる味。


柔らかい唇から少しだけ、吐息が漏れる。


肌に付着した塩がザラザラと擦れた。


海の表面を叩きつける波の音が遠くから聞こえる。


「痛っ……」


身体をねじった瞬間、首筋からヒリヒリとした痛みが走った。


「どした?」


「日焼け部分が……」


「日焼け止め塗らなかったのか?」


「今日忙しかったから……」


「バーカ」


額に額を合わせて浩志は小さく笑って、身体を起こし車のエンジンをかける。


「……」


「薬買いに行くぞ」


「え、でも……」


「後ろに乗っけてるやつも返しに行かなくちゃだろ。ついでに薬局も寄るだけの話だから」


窓を閉めて、エアコンをつける。


冷たい風が急に車内に広がった。


「あの……」


未だにからかわれているのではないかと不安になって、亜美は浩志に遠慮がちに言葉を発した。


「どうした?」


「私達付き合うって方向でいいのでしょうか?」


「俺、彼女じゃない子にあんなことしないよ」


この後は二人で過ごしたい。


優しく囁く彼に骨抜きにされるのはもう間もなくだと、首筋の日焼けの痛みを感じながら亜美は感じた。


To be next party...【night poor】
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