必然的な運命
押入れの奥に閉まってあった一つの段ボールを取り出し、ふぅ〜 と一呼吸し箱の中身を空けた。

埃かかった箱の中はずっと見れなかった父の遺品の数々。

一年経った今ならきっと大丈夫だろう、と一周忌に開ける決意をしていた。

当時使っていた鞄や長年着ていた白衣、使いこなした手帳が散乱していた。

うん。今なら大丈夫そう。

そう思いながらも手帳に手を差し伸べる。

びっしり書かれた手帳の文字にどこか温かい気持ちになった。
< 16 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop