必然的な運命
「薬で何とか誤魔化して頭痛は治まっていたみたいだが、身体は限界だったと思う」

千秋の話す口調はどことなく寂しそうで、今にも泣きだしそうなほど情けない声で話を続けた。

「研究が終盤に差しかかった頃、珍しく山崎さんが1日だけ休みが欲しいと言ってきたんだ。その日は娘とご飯に行くんだと…… 」

それは、きっと私の就職祝いの日だ。

「麻美の話はいつも聞いていたけど、いつも以上に嬉しそうに話す山崎さんは本当に幸せそうだった」

私には見せたことのない父の顔を千秋をはじめ研究メンバーは知っているのだろう。

父の温かさが千秋を通して伝わってくる。
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