必然的な運命
一つ一つ、言葉を選んで語りかけてくれる河原課長。

「優しい嘘や傷つける嘘もあると思うけど、人って臆病だから。その嘘をどう受け取るのかは人の意見ではなく自分自身で考えてほしい」

まるで誰かを想像しながら話しているかのよう。

「さっ、僕の独り言はおしまい! じゃあ書類よろしくね」

「はい。……あの!ありがとうございましたっ」

この人は私の欲しい言葉をわかっている。

そして敢えて独り言として言ってくれている。

これが彼なりの優しさ、優しい嘘なのかもしれない。
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