[完]その口、利けなくしてやるよ。
そして、多分二人にしてほしいと頼むくらいだから、本題はまだなんだろう。
「なあ、嶺華。本題はまた別にあんだろ?」
「ふふっ。さすがね?そうよ、別にある。」
一呼吸おいて、椅子に座る。
「明星。あんたは確実に強くなった。けど医者…兄貴も言ってた通り、今まで以上に精神状態も〝あの時〟のことを思い出すのも、かなり不安定になってきてる。」
……大体予想はしてたことだな。
「それに伴った頭痛も前以上に酷い痛みになってるはずよ。場合によっては……」
そこまで言って、いきなり口を噤(つぐ)んだ。
「嶺華……言って。あたしは大丈夫だから」
そう言うと、さっきよりも真剣な顔をした。
「記憶喪失…っていう場合。もしくは、手術……って場合もあるって。」
「……っ。それは…頭痛が酷すぎれば、そのショックで記憶喪失や、それ以上あたしの頭になにか異常があるってことか?」
「ああ。そういうことだ。」