[完]その口、利けなくしてやるよ。
ー明星sideー
暁都くんの様子がおかしいことなんて、とっくに気がついてた。
「……暁都くん」
静かにそう呟くと、ハッとしたように私の顔を見た。
「ご、ごめんっ……えっとー、……」
「暁都くん。ちょっと話さない?」
そうして、暁都くんと二人でそうこの外に出た。
暁都くんは二人になっても気まずそうに俯いて、何かを考えていたようだった。
「…明星。俺と光都は…」
正直、暁都くんの過去は壮絶なものだった。
光都と離れてからのことも。なんでこんなにいい人がってそう思っては、暁都くんの周りの人を恨んだ。
「暁都くん…あたしさ、暁都くんが愁華にいてくれて、本当に良かったと思ってる。」
だって……暁都くんは唯一年が近くて、それにかわいい雰囲気な暁都くんが、あたしの安らぎにもなったから。
わからないけど……
「暁都くんの纏(まと)ってるものが、あたしの傷心を少しずつ少しずつ、治していってくれたんだよ。……だからね?暁都くんは、とってもいい人で、もうこんなお兄ちゃんがいるなんて…光都は贅沢だよ!」
ちょっとふざけて言ってみたのに、まるで効いてない。