[完]その口、利けなくしてやるよ。
鋼の倉庫は意外と近くて、バイクで30分ほどのところだった。
しかし、こんな近くてよく今まで会わなかったな(笑)
今もだけど、心臓がすごい音を立ててる。
「明星…大丈夫か?冷や汗……」
あたしの額に触ろうとした光都が、手を止める。
多分……察したんだと思う。
あたしが、少し…いや、かなり震えてるのが。
愁華の皆にとってこんな私の震えはまだまだ可愛いもん。
だけどやっぱり心配してくれるのは、彼らの優しさ。
「行くか」
あたしがそう言って一歩踏み出そうとした時、誰かの手によってそれは遮られた。
振り向くと、そこには誠也さんがいた。
「誠也さん……どうし…」
「そんな姿で行ったところで、結局倒れて終わりだ。」
確かに、今のあたしはかろうじて立ってる。
「でも行かないと…」
「それは義務じゃない。タイミングだって準備だってあるだろ?今の明星は、それが出来てない。こんなやっとで立ってるのに…」