[完]その口、利けなくしてやるよ。
けど……
「こんな状態だって、逃げたくないんだ。もう。」
男に触られただけで寒気がして、震えが止まらなくなって
アノ時のことを思い出すだけで頭が痛くなって
そんな弱い私にだけはもう戻りたくないんだ
きっと、きっと京介は昔と変わってると思う。
でもそれはあたしもそうだから。
気がつけば荒く変わってしまった言葉遣いは、柔らかさをもって戻った。
それに、言葉遣いが戻っても一人称は変わらず「あたし」
髪の毛はあの頃は背中の半分まであって、みんなに羨ましがられるくらい綺麗だった。
それが、切ってから、少し伸びてきて鎖骨くらいになった。
沢山、たくさん変わったけど。あたしには変わりないし、今は皆がいるから……
「もう、大丈夫。行こう」
あたしは力強くみんなの顔を見た。