[完]その口、利けなくしてやるよ。
「座ったら」
ぶっきらぼうに言い投げて、ソファーを指さす京介
「ありがとう」
京介からすれば、あの頃のままのあたしだろう。
じゃあ、奏風からしたら?
そんなことばっかり考えてる私は、やっぱり奏風をまだ忘れられてないんだ。
「京介、元気だった?」
「元気だったも何も、少しの間でも一緒にいただろ」
「バカだね相変わらず」
「はぁ?なに…「あたしが今話してるのは!」
「京介だよ。桜庭京介。あたしが中学の頃付き合ってた人、元カレ。」
京介の言葉を遮って、無理矢理言葉を投げ返す。
「あたしあの時さ、本当に大好きだったの。ずっと好きでやっと叶って…毎日すっごい幸せだったよ」
けどね?
「毎日不安だった。いつかどこかの姫とかどっかの美人とか。現れたらそっちに行ってしまいそうで…」
信じてなかったわけじゃなかった。
けど、やっぱりあたしには何も無いから。ずっと自分を好きでいてくれるって自信なんてなかった。