[完]その口、利けなくしてやるよ。
「こんなに好きになれる人いるんだなって…多分一生この人以上に好きになれる人なんて現れないんだろうなって。」
ふと京介の顔を見ると、眉間に皺を寄せていた。
「小桃が出てきた時、信じられなかったよ。クレープ食べに行こうねっていつも通りだったのに、突然小桃が現れてかっさらって行ったんだもん。もうすぐで2年だったのになーって」
好きな人を失うことがこんなにも辛くて苦しいんだって知ったんだ。
「……一番ショックだったのは倉庫に行った時だった。もうみんな知らない人みたいで、怖くて。そしたら、始まったんだ…アノ地獄みたいな日々が。もう真っ黒だった。死んでもいいとかそういうのもなくて、ただ、無。」
本当に、明るい天国から真っ暗な地獄へ落とされたみたいに。
「愁華と出会ってなかったら、ここまで変われなかった。そして、龍凰に潜入して、奏風っていう人に会って、また変われた。だから、何も気にしなくていいよ、京介」
多分京介は、責められると思ってたと思う。
少なからず傷つけたことに罪悪感だってあったと思う。
あたしを裏切って、小桃たちに騙されて、自分のした事の大きさを初めて知ったと思うから。
「あたしさ、京介の笑顔が大好きだったの!もう、あの頃には戻れないし、京介の笑顔も見られないけど。」
京介の面影はもうここにはない。
「京介のことを恨んだり責めようと思ったことは不思議となかったよ?いつも思ってたことは、どうしてあんなことをしたのか、あと……ちゃんとあたしのこと好きだったか。ずっとそれだけ!だからもう終わりにしよう!」
きっと優しい君だから傷つけた傷は背負ったままだと思うけど
「お互い、過去にとらわれるのは終わりだよ」
この先それを癒してくれる素敵な人に出会えると思うから。