[完]その口、利けなくしてやるよ。
その後愁華で元気にやってるってのは、兄貴から聞いた。
俺は小桃たちにそれだけ利用されて、捨てられた。
そこで初めて知ったんだ。
明星は、あんな小さい体で一人で耐えたんだ、って。
何であんなことしたんだ。あんなに愛してたのに。
そればっかりで、いつの間にかこの倉庫の前に来てた。
そして、拾われて鋼の下っ端にしてもらって…すぐに幹部にしてくれた。
けど俺は…明星に会いたくて仕方なかった。
どうしたら会えるか。毎日そればっかり考えてたんだ。
許されることじゃないって分かってても、探し続けた。
その時俺は既に、“一之瀬奏風”としての人生を歩み始めてたから小桃たちには気づかれなかった。
けど、俺が桜庭京介として存在してた時にいた、一之瀬奏風を、小桃は好きだった。