[完]その口、利けなくしてやるよ。


「俺さ…最初すっげえ最悪なやつだって思ってて……」



私たちが出会った頃、お互いの口が悪くて険悪だった



「拒否られるし、うぜえって思って」



男の人がすごく怖くて、触られただけで息ができなくなってた


「そのくせに、雷鳴にやられてるし」


完全に油断してた。弱点じゃないはずだったのに、京介の名前を出されて動揺した。



「奏風がいなくなった時、強がって我慢して泣かねえし」



みんなの前で泣きたくなかった…弱い自分になりたくなかった。



「けど結局泣いて…」



何かが壊れたんだよね、あたしの中で。



「俺さ、明星のこと守りたいって思ったんだ。過去を話してくれたとき、一番苦しくて、悲しくて辛いのは明星なのに…どうすることも出来なくて、そんな自分が悔しかった。」



光都が力になろうとしてくれたのは知ってるよ?



ちゃんと、あたしを支えてくれたじゃない。



「もう、明星を苦しませたくないんだ」



いつの間にか光都はもう一度立っていた。



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