【短】お前に首ったけ
「ねぇよ」

「え?」

「自信も、余裕もねぇ…」

「とう、や…?」

意外だという顔をする翠に、俺はくすりと笑って繋いでない方の手でくしゃくしゃと頭を撫でた。
どういう訳か大人しいと思っていたら、それが原因だったんだな…。
だったら、俺はどこまでもお前を甘やかしてやる。
そう思って、真っ直ぐに翠を捉える。


「人はな、誰にだって弱いとこがあんだよ。自信云々てのは、それを認めるか認めねぇかの問題だろ?俺は、自分の弱さを認めたくねぇから。だから、自信はねぇよ」

「燈耶…」


そんなもん最初は、誰かの台詞の受け売りだったかもしれない。
だけど、俺はずっとそう思って生きてきた。
だから、その信念は今更変えられない。
それが、強さかと問われたら、答えは即答で「YES」だ。
自信なんか、微塵もない。
ただ、俺は自分に忠実でありたいだけ。


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