【短】お前に首ったけ
そんな台詞を聞いて、少しぽかんとして俺を見てる翠に、ウィンクを加えて呟いた。


「それに、好きな女が振り向いてくれねぇんじゃ、余計に自信もなくなるだろ?」

「…っ。それとこれとは話が違うでしょ!」

「なんで?一緒だろ?」


途端に、いつもの翠が戻ってきて、俺は嬉しくなる。
やっぱり、好きな女には元気で笑ったり怒ったり、騒がしくしていて欲しいもんだ。

つーか。

やらかけぇな、髪。

そう思ったら、ポニーテールの一房を手にとって、キスを落としていた。


「?!ななななな!?何すんのよ?!」

「や、別に。したいと思ったんだよ。特に意味はねぇ」


ボボボッと赤くなる翠。
なーんか、俺といるといっつもこいつ赤くなってばっかだな。
意識してんのか、それとも小悪魔的に無意識か…。


「もー!燈耶に話して損した!」


ぷぅっと膨れっ面になる。
くるくる変わる表情に、俺は堪らなくなる。
< 15 / 19 >

この作品をシェア

pagetop