atonement
身勝手な正義感


幼い子供を狙い、一年以上も監禁し、暴力を繰り返したというその事件は、当時の日本に大きな衝撃を与えたという。
その時俺はまだ6歳だった。


子供が犠牲になる事件を見ると、俺は決まってその事件を思い出す。
被害者の子供は、俺より2歳年上の女の子だった。事件後なんとか無事に保護されているが、やはり後遺症などが多く残っているらしい。


「かーずーとー!何ボーッとしてんだよ購買いくぞ!」

スマートフォンの画面を見つめていた俺を覗き込んで、人の良さそうな笑顔を見せる俊明。その横で眠たそうに欠伸をしているのは裕。

俺たち3人は中学からの友達で、たいして頭がいいわけでも悪いわけでもない俺たちは、県内の無難な高校を選び、一緒に合格したのである。

俺は友達づくりが得意な方ではないので、こうして一緒にいてくれる奴がいるのはとてもありがたいことだと思う。季節はまだ5月、こうしてこれからも平凡な学校生活を送っていくんだと思っていた。。。



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