atonement
購買で買ったジュースを片手に、俊明のくだらない話を聞きながら廊下を歩いていたとき、廊下の曲がり角で何かにぶつかった。
「わぁっ?!」
「ひゃっ」
「あっごっごめんなさい!!」
俺がぶつかったその人は車椅子に乗っていて、色素の薄い肌をした綺麗な女の人だった。少し見とれてしまい、はっとして軽く目線を逸らした時、彼女の肩にじんわりとシミができていることに気がついた。
「あっ...?わぁぁぁ!!ご、ごめんなさい服に...!」
ぶつかった拍子に俺がもっていたジュースが少しこぼれてしまったらしい
「あっ俺っ!ハンカチあるんで拭いてください!」
「え?あ、いいよいいよ、こんなの洗えば大丈夫だから...」
断る言葉も聞かないまま、俺はポケットからハンカチを出して彼女の肩に押し付けた。
胸のリボンの色からして、3年生の人だ。先輩に対してなんて無礼を働いてしまったんだ。もしシミになってしまったらどうしよう、改めてお詫びをしなきゃとそんなことを考えながら必死になっている時、その人の膝の上に乗っているノートが目に入った。
クラスと、名前。
「ーーーーーえ、」
「...?」
「あ、あの、ほんとに、すみませんでした!これ、返さなくていいので、使ってください!では」
「あっおい!?和人!?どうしたんだよ!?」
俺はどうしてもそこから去りたくて、その人にハンカチを渡して走りだした。
ーどうして
ーどうしてあの人がここに