氷のヒカリ
感謝の言葉だって、もう何年も使っていない。
そのせいか、なんだか照れくさかった。
彼女とは学校を出てすぐ、別れた。
今日は会社に来るよう言われていたため、その足で向かう。
自分の所属する階に到着し、エレベーターから降りると、笑里さんが忙しそうに駆け寄ってきた。
「氷!いいところに帰ってきた!ターゲットが決まった!」
有無を言わせない勢いで、資料を渡された。
そこに書いてあったターゲットの名前は『月影彩羽』。
俺は自分の目が信じられなかった。
「これ……同じクラスの女子生徒なんですけど。この前はクラスメイトの男子を殺せって指示してきましたけど……どういうつもりですか?」
「そう言われてもねえ。私のさらに上がそう言ってるんだから、それに従うしかないじゃない。それともなに?その子が好きで殺せないとか?」
久々に目が笑っていない微笑みを見せられた。
忙しいときに逆らうなんて、選択を間違えた。