氷のヒカリ
つまり、俺は解雇された。
俺がコードネームで呼ばれなかったのを聞いた途端、今まで一緒に働いてきた奴らの目の色が変わった。
だが、腐っても奴らも暗殺者。
真正面から俺に仕掛けてはこない。
細心の注意を払って会社から脱出し、人の多い駅に向かう。
人だかりの中にいれば安心とは言い切れないが、人通りが少ないところにいるよりはマシだろう。
「氷室くん?」
駅のそばにある時計台の下に立っていたら、転校生に声をかけられた。
「こんなところでどうしたの?用事は?」
しまった、と思った。
今日、彼女は暗殺のターゲットとなった。
俺だけでなく、彼女も狙われることになる。
「……話したいことがある。出来れば、誰もいないところで」
「わ、わかった。なら、うちに来て」
彼女は絶対にわかっていなかったと思う。
それでも、俺の言ったことを信じてくれた。
やっぱり、この人を失いたくない。