氷のヒカリ
弐
翌日からは会社の暗殺者から逃げるような日々が続いた。
極力殺さず、気絶させるだけ。
彼女とそう約束した。
「向こうから来るばかりだね……」
彼女は俺の後ろでぼそっとつぶやいた。
「反撃するタイミングは全部お前に任せる」
そう言いながら、向かってくる暗殺者を倒していく。
「それにしても、ホントに強いね。氷室くん、才能があったのかな」
俺の背中から出てきて、道路上に横たわる十何人を眺めながら言った。
両親が殺されてからというもの、彼女はなにかを失ったように振る舞う。
「感心してる場合か。さっさと行くぞ」
「ねえ、氷室くん。ここが目的地だって、気付いてる?」
「当たり前だ。ここは俺が何度も出入りした場所だからな。で?侵入するんだろ?」
彼女は俺のほうを見て、悪巧みを思いついたかのように笑った。
「当然」
その言葉と同時に、建物の中に入った。