氷のヒカリ
さすがに簡単には勝てない。
むしろ、押されている。
「氷室くん!」
「出てくるな!絶対にだ!」
彼女なら出てきかねないと思い、そう叫ぶ。
一瞬目線を彼女のほうに向けると、案の定、片足を立てて出てこようとしていた。
しかし、その判断は間違っていた。
次の瞬間、俺は右足を切られた。
「っ……!」
痛さのあまり、立っていられなくなった。
「ねえ、知っている?氷室。なにかを守りながら戦う人って、実は一番弱かったりするんだよ」
笑里さんは楽しそうに笑っている。
だが、俺を見下ろす目はとても冷たかった。
「とどめよ」
笑里さんがナイフを上げると、俺はすくんで動けなかった。
圧倒的な力を見せつけられている気分だった。
下ろされる途中で、情けないが、目をつむってしまった。
「ダメ!」
そんな声が聞こえてきて、痛みの変わりに、懐かしい温もりに包まれた。