氷のヒカリ
「次はアンタの番。すぐ月影彩羽のところに逝けるよ」
「うるせえよ」
俺は彩羽を横向きに寝かせ、立った。
右足は真っ赤に染まっていたが、その痛みもなくなるくらい、俺は笑里さんへの怒りでいっぱいだった。
「アンタを殺さないで、彩羽のところに逝くわけないだろ。それに……」
足を切られているとは思えないスピードで笑里さんの首元を切る。
「俺もアンタも、たどり着くのは地獄だ」
「それもそうね……」
笑里さんはそう言って、倒れた。
「彩羽……」
足を引きずりながら、彼女の元に寄る。
「彩羽のいない世界なんて、つまんねーよ……」
愛用の短刀を首元につける。
すると、ふと彩羽の笑顔が思い浮かんだ。
その彩羽は、急に俺を睨んできた。
『なに死のうとしてるの!氷室くんはまだ、死ぬべきじゃないんだってば!それに、さっきのお姉さんは守りながらだと弱くなるって言ってたけど、全然違うからね。今の氷室くんは、最強、だよ!そうだ、最後にいいこと教えてあげる。私ね……氷室くんのこと、大好き!』
言いたいことを全部言った彩羽は、光に包まれて消えていった。
「俺だって……」
横たわる彩羽の頭をそっと撫でる。
「すぐ戻ってくるからな」