氷のヒカリ
俺がいつ、尾崎翔太に仲良くしてもらってたというのだろうか。
奴が勝手に話しかけてきていただけだというのに。
肘をついて窓の外を眺めていたら、始業を告げるチャイムが鳴った。
皆、不満そうに各々席に着く。
すると、担任が入ってきた。
「もう知っていると思うが、昨夜尾崎が何者かによって殺害された。犯人はまだ捕まってないらしい。だから、この辺をうろついているかもしれないそうだ。なるべく、一人で出歩かないように」
朝っぱらからこんな話題のせいか、教室内の空気は信じられないほど重たかった。
「それと、今日からこのクラスに転校生が来た」
その言葉と同時に、教室のドアが開いた。
そこから入ってきた女子生徒は、今のこの空気とは正反対の、満面の笑みを見せた。
「月影彩羽(つきかげいろは)です。よろしくお願いします!」
誰も歓迎する気になどなれず、教室は静まり返っていた。
「悪いな、月影。その……」
担任は顔をしかめながら、口ごもった。