氷のヒカリ
家に帰る途中、ポケットに入れられた飴を取り出す。
「イチゴ味って……」
そうつぶやきながら、包装紙を裂く。
おもむろに飴玉を口に入れる。
「……甘っ」
家に着くころには、飴は消えてなくなっていた。
一週間後、転校生の制服から教科書まで、すべて揃った。
「氷室くん、一週間迷惑かけてごめんね。はい、これ」
転校生はまた飴を差し出してきた。
この前の飴の違う味だ。
「……ん」
受け取ってすぐ、食べてみせた。
口の中がレモン味でいっぱいになる。
すると、転校生は嬉しそうに笑った。
「その飴、おいしいでしょ?私のお気に入りなんだ。また欲しくなったらいつでも言ってね」
「気が向いたらな」