騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「冷酷無情な騎士団長に嫁いだ妃は、余程、男を魅了するものを持っているのだと。そんな、根も葉もない噂すら流れているほどです」
「根も葉もない、は、余計でしょう!」
ビアンカが怒っても、アンナはなんのその。
だけどまさか、そんな噂が王宮内で流れているのかと思うと、ビアンカはどうにも居た堪れなかった。
それもこれも全て、ルーカスのせいだ。
ルーカスは初めてビアンカと肌を重ねてからというもの宣言通り、毎夜、ビアンカを抱き潰した。
いつの間にか眠ってしまい、気が付けば朝……なんてことも、ざらにある。
ルーカスが朝方ベッドから出たことにも気付かずに、アンナが起こしに来るまで死んだように寝ていたこともあった。
さすがに毎晩は辛いとルーカスに訴えてみたのだけれど、彼は『お前が誘うのが悪い』とビアンカの訴えを一蹴し、聞く耳を持ってはくれなかった。
何が、お前が良いと言うまで待つだ。良いと言った途端にこんなことになるなんて、聞いていない。
けれど各言うビアンカ自身も、いざ、ことが始まってしまうと彼の甘さに絆されて、本気の抵抗ができなくなってしまうのだ。
ビアンカの前でのみ見せるルーカスの甘い表情は、普段とのギャップも相まって中毒性があった。