騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「あ、あの……ルーカス様は、今どこに……」
けれど、ビアンカがオリヴァーに恐る恐る、ルーカスの居場所を訪ねようとした時。
突然、バタバタという足音が響いて、回廊を若い衛兵が駆けてきた。
衛兵は息を切らせながらオリヴァーの前で膝をつくと、深々と頭を下げる。
「お話中のところ、大変申し訳ありません! たった今、ルーカス様が、お戻りになられました……!」
「おお、そうか……! それは良かった! それで、ルーカスは今どこに?」
「はい。今、こちらに向かっておいでです。街で暴れていた山賊も、滞りなく討伐されたとのことで!」
「……山賊を、討伐?」
「……っ!!」
衛兵の言葉を繰り返すようにビアンカが呟くと、今の今までビアンカの後ろで息を潜めていたアンナが、ギクリと肩を揺らした。
今、聞き間違えでなければ衛兵は確かに、"ルーカスが街で暴れていた山賊を討伐した"と言った。
だけど、どうしてルーカスが野蛮な山賊を討伐するなんてことになるのか。
大国・セントリューズの第二王子であるルーカスが、そんな危険なことをするはずがない。