騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ねぇ、アンナ。ルーカス様は、一体──」
けれど再び、ビアンカがアンナにルーカスのことを訪ねようとした時。
今度は突然辺りが静まり返り、言葉が静寂の中に飲み込まれた。
代わりに、コツコツという規則正しい靴音が一つ、ビアンカたちのいる王宮入口のホールに近づいてくる。
ビアンカはアンナへと振り返ろうとした身体を留め、たった今、衛兵が駆けてきた煌びやかな回廊へと目を向けた。
左右にいくつも並んだ巨大な窓と、金の装飾がなされた美しい壁。
天井には豪華なシャンデリア、芸術的な燭台。
ここを通る人々を歓迎するように光の空間が演出されていて、思わず目を奪われる。