騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「……これから、どうするの?」
逞しい腕の中、ビアンカが覚悟を決めて彼に尋ねると、真っ直ぐに前を向くルーカスの唇が、静かに動いた。
「枯れた薔薇の、剪定に行く」
──国のため、国民のために。そして大切なものを、守るために。
それはきっと、簡単なことではない。
未来を耕すために、心を折り──闇に張った、深い根を引き抜くのだ。
「……わかった。私は、どんな時もルーカスのそばにいる」
返した言葉に、一瞬だけルーカスが優しく目を細めて笑った。
自分には、彼のように国を守るための力なんてないけれど……。
いつだって、自分を想ってくれる彼の為。彼の心だけは絶対に折らせないよう守り抜こう。
「……っ」
ぼんやりと、夜空に浮かぶ三日月。
ビアンカは力強い腕に抱きかかえられながら、胸の前で強く、強く拳を握り締めた。