騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「聞いても、いい……?」
「ああ」
「どうして王太后陛下は……ルーカスと私の命を狙ったの?」
先ほどの屋根裏部屋で、ルーカスとジェドの会話を聞いていたビアンカは、どうしてもその事実を受け止めきれずにいた。
「だってルーカスは、王太后陛下の息子なのに……」
わからないことばかりだ。
何故、王太后は自分の息子の命を狙うのか……そして、その妃まで殺そうと目論んだのか。
わざわざルーカスに恨みを持つ人物を雇う時点で、彼女が情けの欠片も持ち合わせていないことが良くわかる。
そして王太后なら、間違いなくあの男を王宮内へ引き入れることが可能だろう。
男に簡単な変装でもさせ、王太后ご贔屓の宝石商だとでも言えばいいのだ。
そうすれば彼女の周りの侍女たちも、大した疑問も持たずに納得してしまうはず。
まさか、王太后が賊を招き入れるなど、夢にも思わないだろうから。
男に屋根裏部屋を教えたのも王太后だとすれば……全ての点が線となって、繋がっていく。
「……俺は、王太后陛下とは血の繋がりがない」
「え……?」
「兄であるオリヴァーは、彼女の実の息子だが。俺と王太后陛下の間に、血縁関係はないんだ」
思いもよらない事実に、ビアンカは雷に打たれたような衝撃を受けた。
(二人が、実の親子関係ではない……?)
確かにルーカスと王太后は、似ても似つかぬ容姿をしている。
だけどそれは、ルーカスが先代国王に似ているからなのだと思っていた。