騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「先代国王が、当時、王宮に仕えていた侍女に生ませた子が、この俺だ。母は俺を産んですぐ、この世を去ったが……俺は、国王と血の繋がりのある息子という理由で生かされた」
つまり、オリヴァーとルーカスは異母兄弟ということか。
良くある話といえばそれまでだが……でも、ビアンカがセントリューズに嫁いでからそんなことは今日まで一度も、聞いていない。
「昔は、容姿の異なる俺を怪しむ人間も王宮内にはいたらしいが……噂を囁く人間は全て、罰を与えられ消されたらしい」
「な……っ」
「今では俺が王太后陛下の実の子でないことは、王宮内でも極一部の人間しか知らない事実だ。自分がいながら、国王が身分の低い侍女に現を抜かしていたなど……王太后陛下には耐えられぬ現実だったのだろう」
だからといって、そんなことが実際に、偽れるものなのだろうか。
普通なら周りの人間が気が付くはずだ。特に、当時王太后に仕えていた侍女たちは……彼女の身体の変化にも、敏感だったはず。
まさか、その侍女たちも全て、消されてしまったというの?
「俺の実の母が、俺を身籠っていた頃。王太后陛下も、第二子を身籠っていた」
「……っ!」
「けれど、運悪く王太后陛下は子を死産してしまい……幸か不幸か、ほぼ同時期に生まれたのが俺というわけだ」
つまり……ルーカスは、取り替えられたのか。
王太后の、産んだ子として。ルーカスの母は、彼を産んですぐ亡くなったと言ったけれど……真相は、深い闇の中に包まれている。